中小企業診断士試験に合格し、経済産業省に登録した後もその資格を維持していくためには費用が掛かります。
これはその他の士業資格でも同様のようですね。
中小企業診断士の場合は経済産業省に登録すると5年間有効となります。
はじめに登録してから5年の間に次の更新要件を満たす必要があります。
本記事では更新要件を満たすために必要な費用についてまとめています。
目次
中小企業診断士資格の維持費は診断士協会に所属しているか?で大きく変わる
中小企業診断士資格の維持費用は、各都道府県にある中小企業診断(士)協会に入会するかどうかによって大きく変わります。
入会すれば当然ですが、入会金や年会費が必要となります。
協会に入会しなかった場合は、5年間で満たすべき更新要件をクリアするための費用のみで済むということになります。
この場合の費用は、
ポイント
・5年間に5回受講しなければならない理論更新研修の受講料
・5年間で30ポイント取らなければならない実務ポイントの取得にかかる費用
となります。
実務ポイントについては、もし勤務先が中小企業との取引が多い企業や官公庁の場合や中小企業に勤務している場合は、
あまり気にする必要はないかもしれません。
日ごろ従事している業務が中小企業診断士の実務として認められる可能性が高いからです。
一方、大手企業に所属していて取引先も大手企業ばかりという企業内診断士の場合は、
協会から仕事を回してもらったり、協会が実施している実務従事に参加するなどして稼いでいくしかありません。
その場合は、その実務に従事するための費用が掛かります。
そして、加えて自己研鑽のための投資が必要となります。
以上の情報を簡単に整理すると、次のようになります。
更新に必要な費用
・協会に入会する場合:協会の入会金・年会費+実務従事に必要な費用+理論更新研修受講料+自己研鑽のための投資
・協会に入会しない場合:実務従事に必要な費用+理論更新研修受講料+自己研鑽のための投資
それぞれについて、もう少し詳しく内容を見てみましょう。
中小企業診断士協会の入会金・年会費
中小企業診断士に合格し経済産業省に登録すると、全国の各都道府県にある中小企業診断(士)協会に入会を勧められます。
「中小企業診断(士)」と「士」の字を括弧でくくっているのは、
都道府県によっては「中小企業診断士協会」「中小企業診断協会」と名前が異なっていることがあるからです。
中小企業診断(士)協会への加入は任意なので、もし加入するメリットを感じなければ無理に入る必要はありません。
中小企業診断(士)協会に入会すると、次のようなメリットがあります。
ポイント
・先輩診断士との人脈が作れる
・協会から仕事を紹介してもらえる
・理論更新研修が会員価格で参加できる
・「中小企業診断士保険」に割安で加入できる
・更新手続きのサポートをしてくれる
その一方で、協会に入るためには当然ながら入会金や年会費といった費用が必要となります。
入会金や年会費の金額は各都道府県の協会によって独自に決められています。
入会金の金額は大体1万円~3万円のところが多いようです。
主な協会の年会費については、次のようになっています。
ポイント
・東京:5万円
・大阪:4.5万円
・福岡:3万円
年会費は3万円~5万円のところが多いようです。
入会先の協会については、基本的には住所のある(事務所のある)都道府県の協会に入会するのが基本ですが、
中には近隣の別の都道府県の協会に入会する人や複数の協会に所属する人もいます。
例えば、佐賀県に住所(事務所)がある診断士が福岡県の中小企業診断士協会に入会したり、
佐賀県と福岡県の両方の協会に入会したりします。
複数の協会に所属する場合は、それぞれの協会に年会費を支払うことになりますが、年会費は割引になることもあるようです。
いずれにせよ、協会に入会したいと思ったら、その入会先の協会に入会金や年会費を問合せましょう。
診断士更新に必要な実務従事ポイントにかかる費用
普段から中小企業を相手に業務を行っている人や、独立して中小企業診断士としてコンサルタント業務を行っている人は、
その仕事を行う上で必要な経費が実務従事に必要な費用ということになります。
主な費用としては、事務所を賃貸で借りている場合はその賃貸費用、
事務所の光熱費や通信費、診断先の相手企業への訪問にかかる交通費等が該当します。
その一方で、大企業等に所属していて、
普段の会社の業務では中小企業診断士資格の更新に必要な実務従事ポイントを取得できない人向けの実務従事事業も、
各都道府県の協会によって開催されています。
主に開催されているのは東京の中小企業診断士協会が実施しているものです。
参加費用は1回参加(更新のためのポイント:6ポイント獲得)につき6万円です。
また、同じような事業として「実務マッチング大会」というものも東京を中心に開催されています。
これは、実務従事の機会を求めている診断士と、実務従事者を求めている診断士とのマッチングを行う場となっており、
参加費用は1回2,000円です。
理論政策更新研修の受講料
理論更新研修は中小企業診断士としての「知識の補充」にかかわる要件として求められるものになります。
1回につき約4時間の研修を、5年間の間に5回受ける必要があります。
理論更新研修の受講料は1回当たり6,000円です。
首都圏では頻繁に開催されている理論政策更新研修ですが、地方では開催頻度が少なく年に1回程度しか開催されない都道府県もあります。
参加をさぼっているとわざわざ他の都道府県に参加するハメになりますので余裕をもって参加するのがおすすめです。
中小企業診断士の更新にかかるその他の費用
中小企業診断士の資格を維持していくために最低限必要な費用は、
以上に挙げた実務従事に必要な費用、理論更新研修の受講料、そして協会に所属する場合は協会の入会金および年会費ということになります。
この他に、中小企業診断士として、独立した経営コンサルタントとして成功していくためには、更なる自己研鑽のための投資が必要となります。
具体的には、日々の新聞や雑誌の購読、読書、セミナーへの参加等に対する投資です。
中小企業診断士は、中小企業経営者のパートナーとして中小企業が直面する様々な問題を解決に導くべく、経営者の相談相手となります。
そのためには企業経営に関する知識だけでは不十分で、
社会情勢から哲学・心理学・歴史など様々な面からの知識や教養、スキルが求められます。
そのような知識や教養、スキルを身に着けていくための読書やセミナーへの参加といった自己投資は、独立した経営コンサルタントとして成功していくためには必要不可欠なものであると言えるでしょう。
試験を突破して中小企業診断士の資格を取ったということは、一時的に知識の水準が試験の合格ラインを超えていたというだけにすぎません。
経営コンサルタントとして活動していくためには、継続的な自己研鑽が求められるのです。
中には、社会保険労務士や行政書士といった他の士業資格を取得して、
経営コンサルタントとしての業務の幅を広げている中小企業診断士の人も多く存在しています。
終わりに
中小企業診断士資格を維持していくための主な費用としては、
「協会の入会金や年会費」「理論更新研修の受講料」「実務従事のための費用」です。
協会に所属するのとしないのとでは、年間にして5万円くらいの差が出てきます。
協会に所属することのメリットとデメリットをよく検討して、自分がどうするかを決めていけばよいでしょう。