この記事で紹介するのは満点を取るための勉強法ではなく、効率的に合格するための勉強法です。
特に一次試験は平均点が6割を超えれば合格です。
残りの4割は捨てても合格できるんです。
試験範囲が広いことで有名な中小企業診断士試験だからこそ、力を入れる分野と捨てても良い分野を理解した上で勉強することが大切です。
他の士業のようにスペシャリスト型の資格ではなく、ゼネラリスト型の資格なので完璧な深い知識よりも、そこそこ深くて広い知識が求められる資格試験になっています。
目次
中小企業診断士試験にストレート合格する人の勉強法
中小企業診断士試験の一次試験は基礎知識を問われる試験。
二次試験は知識を使えるかどうか試される試験です。
極論、一次試験の内容を使い方まで見越して勉強していれば二次試験は何もしなくても合格できます。
一次試験を暗記で乗り切った人は二次試験で苦労する仕様になっています。
中小企業診断士はストレート合格率が約4%です。
合格する側の4%に入っている人は
最初から一次試験の内容を二次試験で使えるように整理
しています。
テキストの中には最初から二次試験攻略を視野にいれているものもあります。
まだテキストを購入していない人は一次試験の勉強をしながら知識を体系的に覚えられるタイプのテキストを意識して選びましょう。
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一次試験7科目を勉強する順番
一次試験の科目は暗記科目と理解科目の2種類があります。
暗記科目は試験直前で構わないので後回しに、理解科目は時間がかかるので出来るだけ早めに勉強のスケジュールを組みましょう。
また、企業経営理論・財務会計・運営管理は二次試験でも問われる科目です。
できるだけ勉強時間をあてられるように初期に順番を持ってきましょう。
おすすめの勉強順はこちらです↓
1.企業経営理論
2.財務・会計
3.運営管理
4.経済学・経済政策
5.経営情報システム
6.経営法務
7.中小企業経営・中小企業政策
この順番は大手予備校TACやLECなどでも採用している順番です。
強いこだわりがないようでしたらぜひこのまま使ってください。
次に、各科目ごとに勉強する際のポイントをまとめました。
一次試験7科目のポイントと勉強法
一次試験は7科目もあるので勉強時間の配分を考える必要があります。
ポイントとしては「二次試験でも問われる科目か?」「丸暗記で良いか?しっかり理解をする必要がある科目か?」を意識しましょう。
企業経営理論
企業経営理論は二次試験でも問われる理解科目です。
経営全般の基本的な理論を学ぶ科目(金銭面以外)で、二次試験で特に必要になる各種戦略のフレームワークもここで覚えます。
企業経営理論は二次試験の事例Ⅰ「組織・人事」、事例Ⅱ「マーケティング・流通」で使う知識ばかりです。
財務・会計と並んで中小企業診断士試験の核と言える科目です。
慣れないと理解しにくい言い回しも多い科目ですが、時間をかけても必ず攻略しましょう。
財務・会計
財務・会計は二次試験でも問われる理解科目です。
企業活動を金銭面から把握・報告するための簿記、分析するための管理会計、資金調達スキームや成長理論の論理的な裏付けをするためのファイナンス理論から構成されています。
数学が苦手な人が最も苦戦するのがこの財務・会計です。
ただ、財務・会計を学ぶことで数字を使った提案が得意になります。
経営者や役員は何事も数字を見て判断しています。提案内容の費用対効果を数字に落としこめなくては話を聞いてもらうことすらできません。
財務・会計では中小企業診断士として活動していくための基礎が詰まっています。
試験攻略だけでなく、合格後の活動にも影響を与える重要科目です。
運営管理
運営管理は二次試験でも問われる暗記科目よりの理解科目です。
運営管理では工場や小売店のオペレーションに関する知識を学びます。
二次試験の事例Ⅱ「マーケティング・流通」では店舗・販売管理、事例Ⅲ「生産・技術事例」では生産管理が主に問われます。
一次試験では丸暗記で高得点を取れてしまうのが運営管理ですが、丸暗記で乗り切ってしまうと二次試験で地獄をみる科目でもあります。
中小企業診断士試験では知識を体系的に覚えることが大切だと実感させられる科目です。
経済学・経済政策
経済学・経済政策は一次試験でのみ問われる理解科目です。
マクロ・ミクロ・国際マクロ経済学からなる科目です。
経済学・経済政策の特徴は、理解系の科目で得点できるようになるまでに時間がかかるのに二次試験では全く問われないやっかいな科目だということです。
数式も出てくるので苦手だと感じる受験生も多いようですね。
一次試験は受験した科目の平均点が6割以上で合格という特性を生かして、経済学・経済政策は足切りの40点未満にはならないように注意だけして、他の科目で平均点を上げて合格を目指すという戦略もあります。
中小企業診断士になったあとも特に使うことはない科目なので、必要以上に悩まず上手く付き合うことが求められる科目です。
経営情報システム
経営情報システムは一次試験でのみ問われる暗記科目です。
情報通信技術の基礎知識と経営情報管理の2分野からなる科目です。
他の科目に比べて難易度が低めの科目で、暗記中心でも高得点が狙える数少ない科目の一つです。
二次試験ではあまり問われない知識になります、経営情報管理の分野は企業経営理論と重なる部分が多いので意識しながら学習しましょう。
経営法務
経営法務は一次試験でのみ問われる暗記科目です。
経営に関する法律・諸制度・手続きに関する内容が問われる科目です。
法律科目なので宅建士や行政書士などを勉強した経験がないと、聞きなれない言い回しばかりかもしれませんが、数をこなして「何を聞かれているのか?」しっかり読み取れるようになりましょう。
毎年何問か法律家でもないとわからない問題が出題されるので満点は取れない科目ですが、基礎さえ固めれば高得点を取れる科目でもあります。
中小企業経営・中小企業政策
中小企業経営・中小企業政策は一次試験でのみ問われる暗記科目です。
中小企業支援のための制度についてや中小企業の置かれている状況が問われる科目です。
毎年変更があった制度や最新の日本経済を問題に反映してくるので中古のテキストを使うと答えが変わっている科目です。
内容自体は暗記で対応できるものばかりなので難易度は低めなので、勉強の順番は一番最後がふさわしい科目ですね。
二次試験の各事例問題のポイントと勉強法
二次試験はすべての事例において「分析力」「論理的思考力」「記述力」が求められる試験です。
その中でも各事例ごとに力を入れるべきポイントをまとめました。
事例Ⅰ
事例Ⅰでは組織戦略論と組織論が中心に問われます。
事例Ⅰの効果的な勉強法としては、
「外部・内部経営環境分析を正確に行う」
「経営戦略立案のプロセスが身に付いているか」
「組織・人事の問題に対し適切な改善策を立案できるか」
これらを意識しながら問題演習を行うことです。
事例Ⅱ
事例Ⅱではマーケティングと流通について問われます。
他の事例に比べて想像しやすい問題が多く、比較的解きやすいのが事例Ⅱの特徴です。
事例Ⅱの勉強法は、
「戦略レベルを意識した題意の把握」
「一次試験の知識を活用した具体的な改善策」
「論理的に一貫した解答」
を意識することです。
一次試験の運営管理を暗記ではなく理解して得点してきたかがハッキリする科目ですね。
事例Ⅲ
事例Ⅲでは生産・技術について問われます。
製造業の現場において抱えている問題を抽出し解決するための助言を行うような内容が多いですね。
事例Ⅲの勉強法は、
「企業の現状の把握」
「なぜ問題が発生したか」
「解決するにはどうするべきか」
上記3つを整理しながらプロセスを踏んで思考することを意識してください。
ありがちなミスとしては、設問ごとに聞かれていることには答えているが、すべて通して読むと一貫性のないことを答えているというミスがあります。
事例Ⅳ
事例Ⅳは財務・会計を中心に経営分析・経営課題解決について問われます。
計算問題なので努力が一番反映されやすい事例問題ですね。
事例Ⅳの勉強法は、
「財務・会計の基礎を固める」
「出題傾向が毎年似ているので数をこなす」
などがあげられます。
あとは「過去問を使った正しい勉強法」と「二次試験を見据えたテキスト選び」だけ
中小企業診断士に限らず資格試験は過去問を上手く活用することが大切です。
ただ、中小企業診断士試験は他の試験と過去問の使い方が違います。
多くの受験生は過去問を実力チェックに使っていますがこれは間違った使い方です。
中小企業診断士試験は過去と同じ出題の仕方はまずしないので出題の視点を確認するのが正しい使い方です。
そして、一次試験の勉強から二次試験の論述問題を意識しているテキスト選びも大切です。
勉強法と正しい過去問の使い方を知り、効率的に勉強するためのテキスト選びをしっかり行えば、あとは思いっきり勉強するだけです。
興味があればぜひ↓の記事も読んでみてくださいね。
⇒中小企業診断士試験の過去問の使い方!一次・二次試験別に紹介